愛されることを受け入れましょう
「あっ‥‥‥」

タクシーで帰るなんて考えもしなかった。理一君との約束を守れなかった罪悪感は感じても、樹くんと一緒に家に帰らないって可能性は微塵も浮かばなかった。

これはきっと『呪い』だ。私の胸の奥の奥にこびりついてはがれない、樹くんを基準に考えちゃうって呪い。
昨日、給湯室で浮かんだ感覚が甦ってくる。

「全然嬉しいことじゃないよ。やっぱり私このままおばあちゃん確定かも‥‥」

がっくりとうなだれてため息をつく私に樹くんはキョトンとしてる。

「ん?このまま?もちろん、柚珠奈はこのまま、今の柚珠奈のままでいいんだよ。何にも変わらなくていいんじゃない?」

「もー!違ーうっ!!そうじゃなくて、恋愛出来ないまんま、おばあちゃんになっちゃうってこと!」

あまりに呑気な発言につっかかると、樹くんもやっと理解してくれたらしい。納得出来たと頷いた。

「なるほど、そういう意味ね。でも大丈夫、その心配はないよ。じゃ、その心配を解消する為にも、合コンの話、聞かせて欲しいな」
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