桜祭り!【SS集】
聖×明 『贅沢なお花見』


……こんなことになったのは、なんでだっけ?

いつも生活している場所から、はるか上空を飛んでいるヘリコプターの中で首をかしげる。

「明……っ、いちぼ……。花見……まんぞ、だろっ」
「えっ? 聞こえないよ!?」
「し、も……俺が……隣……ほ……ぜいた、だな」

耳に手を当てて聞き取ろうとするものの、ヘリコプターの音がうるさくて途切れ途切れにしか声が聞こえない。

ただ、隣に座った聖が何か自慢げに胸を張っているので、おそらく……

「明、見ろ。満開の桜が一望できる。こんな花見ができて満足だろ。しかも俺が隣にいるなんて、本当に贅沢だな」

……と、言っているのだと予想はできた。

桜を一望……ねぇ……。
……そっか、私がお花見したいって言ったからここに連れてきてくれたんだ。

あまりにも想像とかけ離れたお花見に、やっとこの状況を理解できた。

「贅沢、かぁ……」

窓から下を眺めると、川に沿うように立ち並んだ桜がピンク色のじゅうたんをまっすぐに広げていた。

確かにこんなところからお花見をする人なんてめったにいないし、贅沢だと思う。

それに、キレイなことはキレイで、あの上を歩いたら夢の国に案内してもらえそう……なんて乙女な妄想も膨らむ。

……だけど……だけど、やっぱり何か違う! こんなお花見がしたかったんじゃない!


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