桜祭り！【ＳＳ集】

薫×和紗 『桜の季節、黒ネコ王子にリベンジしてみました！』

付き合う前も、付き合いだしてからも……いつだって薫さんにもてあそばれてばかり。一度、アタフタさせようと試みたものの、結局手の平の上で転がされてしまった。

だから……今度こそ、彼を翻弄してみせる。

そう気合いを入れて臨んだお花見デート。ふたりで桜並木を歩いていると、薫さんは春風に髪を遊ばせながら、桜を見上げた。

「あー……綺麗、日本ってホントいいよね。桜を見ると、和のインテリアを探したくなっちゃうんだよな……」
「そうですね、モダンな和室とか素敵ですし、若い方にも馴染みそうですよね」

薫さんと話しながら、頭の中ではどうやってアタフタさせようかと考えていた。

……何か、いいきっかけがないかな。

そう思っていると、強めの風が吹き、桜の花びらがチラチラと舞った。

「あ……」

風に舞った花びらのひとつが、薫さんの髪にヒラリと乗った。

そうだ……これを取ってあげて、ついでにキスとかしたら絶対ドキッとするはず！　……って、できるかな、キス。

周りを見渡すとちょうど人はいない。……なら、やるしかない。

わたしは気合いを入れると、薫さんに呼びかけた。

「薫さん、髪に花びらついてますよ。取りますから、しゃがんでくれませんか？」
「んー？　いいよ、花びらくらい……こうしたら、取れるでしょ」

薫さんはワシャワシャと自分の髪をかき乱す。確かに、花びらはハラリと地面に落ちていった。

……ああ……作戦が……。でも、まだ諦めない！