声が聞きたくて。
交換日記
次の朝。
教室に着くと、柊くんの姿があった。
「おはよう」
柊くんはそう言って、窓際最後尾の指定席に座る私に声をかけてきた。
私は、ペコリと会釈する。
「あのさ、高宮さん」
柊くんは、一冊の大学ノートを差し出してきた。
……?
なんだろ、このノート。
私が疑問に思って首をかしげていると、
「今日からこのノートで交換日記、やろ?」
驚きの言葉が、柊くんの口から出た。
柊くんは続ける。
「喋れなくてもいい。
今日から、俺と友達になろ?」
――――嬉しかった。
柊くんの笑顔があたたかくて、涙が出そうになった。
私は、笑顔でこくりと頷いた。