声が聞きたくて。
祭りの日ということもあってか、神社には老若男女問わず多くの人が訪れていた。
境内には射的や金魚すくい、かき氷やたこ焼きといった屋台が並んでいる。
「屋台、どこ行く?」
屋台が並ぶ境内をあてもなく歩きながら、柊くんはそう聞いてきた。
暑いからかき氷の屋台に行くのもいいし、
射的や金魚すくいとかの屋台に行くのもいいし……。
私がそんなことを考えていると
視界の隅に『りんご飴』という看板がかかった屋台が入った。
私はとっさに、『りんご飴』の屋台の方を指さした。
「りんご飴?」
柊くんに聞かれ、私はこくりとうなずく。
…りんご飴、食べてみたい。