声が聞きたくて。




祭りの日ということもあってか、神社には老若男女問わず多くの人が訪れていた。


境内には射的や金魚すくい、かき氷やたこ焼きといった屋台が並んでいる。


「屋台、どこ行く?」


屋台が並ぶ境内をあてもなく歩きながら、柊くんはそう聞いてきた。


暑いからかき氷の屋台に行くのもいいし、
射的や金魚すくいとかの屋台に行くのもいいし……。


私がそんなことを考えていると
視界の隅に『りんご飴』という看板がかかった屋台が入った。



私はとっさに、『りんご飴』の屋台の方を指さした。



「りんご飴?」


柊くんに聞かれ、私はこくりとうなずく。


…りんご飴、食べてみたい。




< 19 / 35 >

この作品をシェア

pagetop