声が聞きたくて。




30分後。


ドーンッ―――――。


ドーンッ―――――。


ドーンッ……―――――。


予定通り、花火が打ち上げられた。


花火が打ち上げられると同時に、周囲の雑踏は感動の声を上げる。





私と柊くんは、神社近くの川原で、打ち上げられる花火を見ていた。


「わあ……」


柊くんは、夜空に打ち上げられる花火をキラキラとした目で見ながら、歓喜の声を上げた。


私は、生まれて初めて見た花火に涙を零しそうになる。



―――綺麗…。



花火のあまりの美しさに感動してしまった。


花火は、濃紺の夜空に次々と打ち上げられていく。
星型の花火、ハート型の花火、ニコちゃんマークの花火、クローバー型の花火…。


浴衣の裾をギュッと握り締め、唇をギュッと噛んで、涙をこらえる。


ドーンッ――――。


ドーンッ――――。


ドーンッ……――――。


「……――――っ」



ああ、ダメだ…。



ドーンッ――――。


頑張ってこらえてみたけど、涙の雫は、私の目から零れ落ちた。


隣で涙を流す私に気づいたのか、柊くんは、

「高宮さん、どうしたの?」

私の顔を覗き込む。



私は、涙を零しながらも、柊くんに向かって笑顔を見せた。


自然とこぼれた笑顔だった。




柊くん、ありがとう。

私、今、すごく幸せだよ。




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