声が聞きたくて。
教室の壁にかけられた時計が9時を指すと同時に、
校内に聞き慣れたチャイムが鳴った。
それを合図に、生徒たちは自分の席に戻っていく。
数秒後、教室に若い女の先生が入ってきた。
真っ黒でおろしたてのスーツを着ている。
「おはようございます。
皆さん、進級おめでとうございます。
今日から皆さんは2年生です。
今度入学してくる1年生の手本になれるように…―――――」
先生が教壇に立って話をする中、
私はその話に聞く耳を持たず
窓の外に咲いているピンク色の桜を見ていた。
…きれいだなぁ。
桜の木々が風に吹かれて、花びらが宙にはらりと舞い落ちた―――。