奏でるものは~第1部~

その日は、家の防音完備の音楽室でピアノのレッスンを受けた後、そのまま一人で琴の練習をしていると、ドアがノックされ、お手伝いの嶋さんが、夕食に呼びに来た。


我が家にお手伝いに来てくれている人は数人いて、祖父が買い上げたすぐ近くのマンションに家族ですんでいる人が多い。
交代制で朝から夜まで誰かいてくれる。昼間だけの通いの人もいる。
母屋でもある、隣の西田本家はもっと人がいる。
みんな優しく、小さいときから知ってくれているのはありがたい。

嶋さんと話ながら食堂に行くと、二人分の食事が用意されているが、まだ誰もいない。

先に食べ始めようかと、思っていると、珍しく先に風呂を済ませたらしく、乾ききっていないであろう髪をまとめ髪にした姉が入ってきた。

「あれ?もうお風呂入ってきたの?」

と聞くと

「そ、お先にね。」

とイタズラっぽく笑い、そのまま2人で食事を始めた。

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