奏でるものは~第2部~
開会の挨拶を舞台袖で聞きながら、集中する。
無、になった。
音楽が始まる。
幕が上がる。
体が動いた。
――――
気がつくと礼をしていた。
大きな拍手が聞こえる。
幕が閉じる。
後ろの大きな木のセットが動き出す。
舞台を去ると、祖母が笑顔で拍手をしていた。
やっと、笑顔になる。
小さな子供たちの舞台のセットは大掛かりではない。
それでも次の出番を待っている子ども達の顔は緊張感とやる気に溢れている。
自分の初舞台を思い出しながら、その子たちの出発を見送ると楽屋に向かった。
さっき会えなかった他の師範の方たちのところに向かう。
みんな、モニターで観ていたようで、誉めていただき、アドバイスも求める。
全員に挨拶を済ませ、自分の楽屋に戻り前半の会の終了を待つ。
前半の会が終わるとき、前半に出演した人は舞台に行き、挨拶をする。
それまで、衣装は脱げない。
名取になってないものは前半で全員が終わる。
名取や師範の御披露目の人や様々な賞を取った人が後半の舞台に立つ。
名取や師範で前半に出演するのは私を含めて5人。
あとは初舞台を含めた子どもや若い人が多い。
前半の最後の演目が始まると舞台袖に待機して、演目が終わると全員で舞台に座り、礼をする。
顔を上げると、他の教室の師範の方の挨拶がはじまる。
前半終了の挨拶を聞きながら、両親や友達の姿を探すと意外に近くで見つけた。
カメラを構えた兄もいた。
最後に一礼をして、拍手の中、幕が下り、私達は舞台から去った。