奏でるものは~第2部~
後半の舞台も終わり、両親と兄が楽屋に来て回りの人に挨拶したあと、私のところに来てくれた。
「お疲れ様。
娘の晴れ姿はいいね」
「舞台良かったわ。
頑張ったわね」
と母。
「お疲れ。
今からパーティーだろ?
荷物もって帰るよ」
と、兄も労ってくれた。
ほとんどの荷物を預け、パーティーへの移動を待った。
夜のパーティーでは、御披露目の名取や師範の人は挨拶回りに忙しい。
私も去年の御披露目の時ほどではないが、ちょこちょこ挨拶をして、料理を楽しんだ。
立食なので、勝手に帰ってもバレないが、一応師匠である祖母に声を掛けようと思っても、御披露目のお弟子さんに付き添っていてつかまらない。
――帰りたい
誰とも挨拶してない祖母を見つけて走り寄り
「お疲れ様です。
私はそろそろ…」
と言うと、
「お疲れ様。
誰か迎えに来るの?」
「多分大丈夫。お先に失礼します」
とパーティー会場を出てホテルのロビーから父に電話した。
が、出ない。
呼び出し音だけが響く。
家にいたらそうなるよね~、と呆れながらも家に電話した。
お手伝いの嶋さんが出て、兄に変わってもらう。
「そろそろ帰りたいんだけど、誰か迎えは出れそう?」
「あ、俺が行くから、着いたら電話するよ、待ってな」
と言って電話が切れた。
迎えに来てもらい、帰ると8時半。
両親に挨拶して、さっさとお風呂に入る。
疲れで眠くなる。
ベッドに転がって、そのまま朝を迎えた。