眠れぬ王子の恋する場所
「久遠さんが寝ている間は、誰もいれない。私しかいません。もし、なにかあったとしても私が守ります。
……だから、苦しくならないから。安心して眠ってください」
「……番犬の代わりくらいにはなるか」
横になった久遠さんの言葉にムッとしていると、ベッドの上についていた手を握られる。
いつもとは違って、熱を持った熱い手だった。
……いつから熱が出ていたんだろう。
こんなに熱を出しながら、昨日の夜はひとりで、横にもなれずにいたんだろうか。
考えるだけで襲ってくるツラさに唇をキュッと引き結んでから、久遠さんの手を握り返す。
私よりもひと回り大きくて分厚いハズの手が、とても力なく感じた。
どうか久遠さんが、苦しい思いから解放されますように。
そう願い、そっと目を閉じた。