眠れぬ王子の恋する場所


「俺、ギャンブル依存がひどくて……最初は、仕事の息抜きで始めただけだった。でも、一度始めたら抜けられなくなっていって、そのうちに借金してまでするようになった。
真琴に貸して欲しいって言ったときも、返済日が迫って焦ってたからだった。……でも、すぐに後悔したよ。真琴がもしそれを社内で言いふらしたら困ると思って」

肩を落とし説明する隆一を、私はただ黙って見ていた。

隆一がギャンブル依存症だったなんて、聞いたのは初めてだった。

そんなことにハマるような人じゃないのに……と思ったけれど、私に見せていた部分が全部ではない。

隆一の中にそういう部分もあったってことなんだろう。

……でも。
お金を貸してほしいとお願いしたことを後悔したのは、私との関係が壊れるのを心配したからじゃなくて、あくまでも自分のためだったのか……。

隆一の言葉に、感情が、ひとつひとつ傷ついていく。
たくさん浮かんだシャボン玉がひとつひとつ割れていくみたいに。

「社内での俺のイメージをどうしても壊したくなかったんだ。だから……真琴が言いまわる前に、俺が……って。真琴の言い分なんて誰も信じられないくらいにしておけば、誰も俺を悪くは思わないだろうって」

「……勝手な言い分だね」

ぽつりと言葉にすると、隆一はツラそうに目元を歪める。

「本当に真琴の言う通りだ。ごめん……」

目を伏せ、苦しそうに眉を寄せる隆一が、どこまで本当なのかわからなかった。

今さら、もう信じたいと思う気持ちはなくて……ぼんやりと見ていることしかできない私に、隆一が続けた。


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