眠れぬ王子の恋する場所


男の人って総じてそうなんだろうか。

それとも、ここにいるふたりが特殊なだけで、世の中の男性全体で見れば、そこまでパーセンテージは高くないのかな、と疑問に思う。

少なくとも、私が過去付き合ってきた男の人は、旅行も嫌がっていないようには見えたけど……気を遣ってただけなんだろうか。

目の前で飛び交う衝撃的な会話に眉を寄せながら、最後のひとくちとなったピザを口の中に入れる。

っていうか女性といるの二時間が限界って。
久遠さんのところに行くと、長いときは六時間くらい一緒にいるけど、久遠さんは苦痛じゃないんだろうか。

私にとって仕事は仕事だけど、だからといって一緒にいるときに気を遣ったりってしないし、初めて会った日に関係を持ってしまったこともあるのか、完全に素をさらしてるけど……。

考えてみれば、それはそれで問題かもしれない、と思いながら、残りふた切れになったピザを社長に箱ごと突き出す。

「社長。吉井さんが戦力外になりました」

まだ二枚目だっていうのにかなり苦しそうな吉井さんを見ながら言うと、社長は「最初っから戦力に数えてねーよ」とハッハと笑い、箱を受け取る。

残りふた切れを引き受けてくれるらしい。

「社長はちゃんと食べますよね。吉井さんとか久遠さんみてると自分の食欲に不安を覚えるので、もりもり食べてくれると安心します」

私が大食漢なんだろうか……と心配になったりもするから。

ひと口でひと切れの半分ほど口に入れた社長が、「そういや、久遠も小食だからな」と食べながら言う。



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