眠れぬ王子の恋する場所
最近はもう毎日だ。
私が行ったところで、お茶を入れて一緒にご飯を食べて話すだけだし、あまり役に立っているとは正直思えない。
社長を通している以上、依頼としてだし、お金だって発生してるのに……無駄使いなんじゃないかと思えてきてしまう。
食事は、私と一緒にとるようになったから栄養面ではいい方向に進んでいると思う。
でも、不眠症のほうは、たぶん、全然変わっていない。
私が部屋にいるとたまにうたた寝しているときはあっても、まとまった睡眠時間はとれていないんだろう。
久遠さんの隈は、なくなっていないし、顔色だって白いから。
どうにかして寝かせることはできないものかなぁ……。
あれじゃあ可哀想に思えて、なにか方法はないかとインターネットで検索するためにパソコンを起動させたとき、隣に座る石坂さんが「あの!」と威勢のいい声を出した。
「それって私が行ってもいいですか? 久遠さんのお部屋に様子見に行く仕事、私、したいです」
見れば、目をキラキラさせた石坂さんが挙手していて……なんとなく、胸の奥にもやっとした感情が浮かぶ。
……なんだろう。
例えるなら、心の中心に火のついた一本のろうそくが立っているとして。
その火が一瞬、大きく揺らいだようなそんな気分。
その、グラッとモヤッとした不快感を、自分でも不思議に思い首を傾げたくなった。
この、わずかなイラだちはなんなんだろう。
さっきから背筋もゾクゾクするし……と、なんだか落ち着かないでいると、社長が石坂さんに言う。