種無しスイカ
正直いって、あすかさんの人生は思っていたより壮絶だった。
なのに彼女は何もなかったかのように、私に笑いかける。
あれから一週間が経っている。
あすかさんは、まだ眠ったままだ。
一度だけ、若が見舞いに来た。
そんなことありえなかった。
若が誰かを助けることも、誰かのために動くことも、今まで一度もなかった。
でも、あすかさんには違った。
若は、眠る彼女のそばに寄り、傷だらけの顔に触れた。
壊さぬよう、離さぬよう、そっと。
若の表情は、やっぱり変わらなかった。
何を考えているのかも、分からなかった。