種無しスイカ
そのあとは、ご飯を出してくれて風呂まで入らせてくれた。
広いし部屋が何個もあったから迷ったけど。
「いろいろ、ありがとうございました。」
「え?君どっか行くの?」
「いつまでもここにお邪魔するは訳にはいかないので」
「待って。ちょっとだけさっきの部屋で待っててくれない?
結局、ここを出れず
部屋でおとなしく待つつもりだった。
でも、そんな訳にはいかない。
ヤクザの事務所なんて、一秒でも早く立ち去りたい。
キャリーケースを、音をたてずにゆっくり部屋を出て
長い廊下を進む。