エリート御曹司が過保護すぎるんです。
side - MOMOKO

【1】サマータイムで急接近

 ヒートアイランドのせいで、夜でも暑い日が続いていた。


 東京に来てから、もう8年になる。
 けれど、いつまでたってもこの暑さは苦手だ。

 物騒な都会では、窓を開けて寝るなんてもってのほかだ。
 かといってエアコンをつけっぱなしで寝ると、朝になって喉がイガイガする。


 小さいころ泊まりに行った秋田の祖母の家では、夏になると窓を開けっ放しにし、蚊帳を吊って寝ていたものだ。
 ときには蚊帳のなかに蛍を放し、点滅する小さな光と夜空の星を重ねて眺めたりもした。

 かなり贅沢なスローライフだ。


 そんな田舎育ちの自分にとって、寝苦しい都会の熱帯夜は、拷問以外のなにものでもない。
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