エリート御曹司が過保護すぎるんです。
長くてきれいな指先が、目の前に見えた。
どうやら誰かが、私の両脇に手をついて、周りの乗客から守ってくれているらしい。
肘までまくり上げられたシャツから伸びている、程よく筋肉がついた腕。
手首には、王冠マークのついたシルバーの腕時計がはめられていた。
スタイリッシュなデザインのロレックスの時計は、どこかで見た記憶がある。
手の大きさから、背後にいるのは男の人だろうと思う。
けれど、不思議と嫌な感じはしなかった。
できるだけ触れないように、気を遣っているのがわかるからだ。
しばらくすると、電車が建物の陰を通り、一瞬だけ車内の様子が窓ガラスに映し出された。
守ってくれている人物の顔を見て、驚愕した。
まわりの乗客から頭ひとつ飛び出るほどの長身、そして、暑いなかでも涼しげな目もと。
(――二階堂さん!!)
私の視線に気が付いたのか、二階堂さんはガラス越しに笑顔を向けてきた。
(ど、どうしよう……なんか緊張しちゃう)
会社を出るときにデオドラントスプレーはしてきたけれど、ひとつにまとめてある髪は、人ごみに揉まれてぐしゃぐしゃに乱れていた。
どうやら誰かが、私の両脇に手をついて、周りの乗客から守ってくれているらしい。
肘までまくり上げられたシャツから伸びている、程よく筋肉がついた腕。
手首には、王冠マークのついたシルバーの腕時計がはめられていた。
スタイリッシュなデザインのロレックスの時計は、どこかで見た記憶がある。
手の大きさから、背後にいるのは男の人だろうと思う。
けれど、不思議と嫌な感じはしなかった。
できるだけ触れないように、気を遣っているのがわかるからだ。
しばらくすると、電車が建物の陰を通り、一瞬だけ車内の様子が窓ガラスに映し出された。
守ってくれている人物の顔を見て、驚愕した。
まわりの乗客から頭ひとつ飛び出るほどの長身、そして、暑いなかでも涼しげな目もと。
(――二階堂さん!!)
私の視線に気が付いたのか、二階堂さんはガラス越しに笑顔を向けてきた。
(ど、どうしよう……なんか緊張しちゃう)
会社を出るときにデオドラントスプレーはしてきたけれど、ひとつにまとめてある髪は、人ごみに揉まれてぐしゃぐしゃに乱れていた。