エリート御曹司が過保護すぎるんです。
 もしかして……

「私、歩くんでしょうか」

 すると次の瞬間、二階堂さんがプッと吹きだした。

「まさか。こんな暑いなか、女の子を歩かせられないよ。ここに乗って」

 二階堂さんがポンポンと叩いて示したのは、自転車のうしろの荷台だった。

(ふ、ふ、ふ、ふたり乗り――――?)

 下手をすると、車の助手席よりも親密度の高いポジションではなかろうか。

(無理! 絶対に無理!)

 けれどそんな私の動揺に気付く様子もなく、二階堂さんは自転車のサドルにまたがった。

「もうすぐ休憩時間が終わるから、早く乗って」
「私、スカートはいてきちゃったんですけど……」
「しっかりつかまってくれれば、横乗りでも大丈夫だから」

 当たり前のようにさらっと言うが、私にとっては大事件だ。

(しっかりつかまってって……)

 想像しただけでくらくらしてしまう。
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