エリート御曹司が過保護すぎるんです。
 二階堂さんが、私の髪の毛を指ですくって口づけた。

「ごめん……桃ちゃんが欲しくて、僕も必死だった」
「二階堂さん……」
「名前で呼んで?」
「……淳司さ」

 最後の「ん」を言うまえに、再び唇を塞がれた。


 いつの間にか下着もはぎとられ、私はベッドの上で、生まれたままの姿にされていた。

 彼が私を見おろし、まぶしそうに視線を這わせる。
 そして、ふくらんだ胸に目を留めると、ささやくように言った。

「真っ白で……なめらかで……こんなにきれいな肌だったんだ」

 お世辞だとわかっていても、なんだか嬉しい。

 そのあとも、この小さなホクロがかわいいとか、指先がきれいだとか、体中のあらゆるところにキスをしながら語りかけてくる。

「さすがトップの営業マンですね。褒めるのがとっても上手」
「こんなこと、好きな子にしか言わないよ」

 私の言葉が不服だったのか、彼は拗ねたように口を尖らせた。
 ごめんなさい、と言いながら頬に手を添える。
 すると、二階堂さんの甘いキスが降ってきて、ふたたび夢の世界に引き戻された。



 それからのことは、正直記憶に残っていない。

 上になったり下になったり、ベッドから転げ落ちそうになりながら、長い時間重なり合ったような気がする。

 ハードな練習のあとだったのにも関わらず、二階堂さんの体力はすごくて、一度欲望を吐き出したと思ったらまたすぐに復活して、ありったけの情熱を私にぶつけてきた。


 好きだという言葉を何度聞いただろう。
 そして私も、何度愛の言葉をささやいただろう。

 私はただひたすら、愛し愛される幸せを噛みしめていた。
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