奏でるものは~第3部~
「おまたせ、歌織いこ?」
声をかけられて、我に返る。
「あ、…もういいの?」
「うん。3年でも、まだ、受験で焦るって雰囲気じゃないね~」
自分の教室に戻ってもさっきの会話が頭から離れない。
『ハラダチエリ』
強気な女。
優さん、どういうこと?
優さんじゃないよね、って考えるほど、やっぱり優さんだと、なぜか思ってしまう。
聞く?聞かない?
どうしよう。
頭のなかは一杯で、授業は何も入ってこなかった。