ワケがありまして、幕末にございます。ー弐ー
幕末
新
12月になった。
寒くかじかむ手を擦り合わせ、火鉢にじりじりと近付く。
「…けほ、本当に愁くんは寒がりさんですねぇ」
「だって寒くないですか、何なんですかこの寒さ」
沖田さんは近藤さんの妾宅で一時療養することになった。
目の届く所に置いておきたい土方は渋っていたけど、此処が危険な場所である事は分かっていた為了承した。
「ねぇ沖田さん」
「なんですか~?」
「また直ぐ会えますから」
「…え?」
「直ぐに会えますから。
変な事しちゃだめですよ」
例えば無断で動くだとか、むしろこっち戻って来ちゃうとか。
そんな事したら殴りますよってハナシだ。
「…バレちゃってましたか」
「俺は沖田さんと双子?みたいなもんですから」
「ふふっ…こほ、嬉しいなぁ…」
沖田さんが眠りにつくまで隣に寝転んで雑談をする。
更に青白く、そして頬の痩けた顔。
アタシに出来ることは不安や寂しさを少し緩和するくらい。
せめて、夢の中では苦痛が消えていますように。
沖田さんが行って約1週間後の事。
王政復古の大号令が発令された。
徳川幕府ならび征夷大将軍廃止
天皇の元新たな役人に構成された新政府が政治を行うことになる
これにより、旧幕府軍VS新政府軍の形が露になった。
さぁ戦争が始まる
< 1 / 29 >