ワケがありまして、幕末にございます。ー弐ー
「お前ってバカだなー」
いつの間にかアタシの前にデカい男の気配。
「お前は皆の傍にいることが出来るだろ」
あっけらかんと言い切る左之にでも、と口を挟む。
「傍にいるだけじゃ守れない」
近藤さんを、土方を、皆を。
勿論全て守れる訳じゃない。
だってこちらは"いずれ終わる方"、歴史は確実に進んでいるから。
でも、守りたいんだ。
命をじゃない。
コイツ等の誇りを、信念を守りたい。
「ほんとバカヤローだ」
「ぅわっ」
頭をぐしゃぐしゃ撫で回し左之は嬉しそうな声色をだす。
「待っててくれる奴がいる。傍にいてくれる奴がいる。
これって簡単で、でも凄ェ難しい事なんだぜ?」
「愁、前に言ったろ。
お前は今まで通りでいてくれって。それが俺等の力になるって。
嘘じゃねぇさ、お前のおかげで俺達はまだまだ強くなる」
手をにぎにぎして言う新八っちゃんも嬉しそうにゆっくりと言葉を紡いで。
「別に銃を持つなとは言わねーし、むしろ持っててくれて構わない。ただ、今までみてぇな無茶な戦い方は辞めてくれ。
…俺達の力の為に」