ワケがありまして、幕末にございます。ー弐ー




「あ~~ん、ま、い~」


「オメーは上司を前に何勝手に食ってやがんだ」




どこで手に入れたのか土方さんがお土産を持ってきたので、奪っ……預かって早速口に運んだ。


今まで餡粉や黄粉だけしかなかったので、ひっさびさの洋菓子だ。




「“かすていら”ねぇ…。おい愁、ホントにそれ美味いのか?」


「怖いなら食べなくていーよ、ねぇ新八っちゃん?」


「そうだな、怖がりの左之には無理無理」


「んなっ、怖いなんて一言も言ってねーだろ?
食うよ、食えばいんだろぉ!?」



あ、左之もしかして皿の上の全部口に入れ…たよな。



「んっ…ふぐふふふーん!」



何言ってんのか分かんないけど、おそらくこれうめーな、とかそんな感じだろう。


だけどさ、




「さあぁのぉ…」


「!?」



鬼な副長さんが激おこなんだよね。

まぁ当たり前か。




「てンめーは仕事もしねーで何人の分まで食ってやがんだよ!」


「っぎゃー!!」



まぁた始まりました、新選組名物追いかけっこ。

もう韋駄天走りの音は聞きあきたから襖を閉めてしまおう、ピシャン。



「食べ物の恨みは怖いねぇ」


「そうだなぁ」


「仕事しよっか、新八っちゃん」


「あぁ」




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