ワケがありまして、幕末にございます。ー弐ー



アタシ達が今しているのは隊服の仕分け。



小姓のアタシは分かるけど、何故副長助勤兼組長でもある新八もやっているかというと



「あっこれはこれは?これなら着れるでしょ」


「おっありがてぇ、やっとあったか…ってまだ腕がでねぇじゃんよ!」


「ふふふっ」




背の低い彼に合う隊服も一緒に探しているのだ。



実際に見ることは出来ないけど、きっと肩もビローンてなってたりしてるんだろうなぁと想像すると腹が痛い。


彼シャツだ、彼シャツ。



「ごめんごめん新八っちゃん、今度こそ、ほら!
これ履いてみて!」


「お?おー…ん?ん?」




衣擦れの音にトン、トン、トン、と片足をつく音。

いわゆる片方の裾が絡まってバランスがとれない時の音だ。

その直後にドスン、転ける音と揺れ。




「全然足がでねぇんだけど?!」


「ぶふっ…あっはっはっは!」



痛い、腹がよじれる、腹筋ヤバい。


なんて笑い転げていたところにギシ、板が軋んで襖が開いた。




「どうだ、進んでるか?」




優しい声が入ってきた。




「お、新八…………似合うじゃないか」


「近藤さん…むしろ笑ってくれ」


「~~~~っっ(もはや声にならない)」



は、腹が…傷が開く、笑い死ぬ。
ヤバい。








「あぁ、新八っちゃんに殺されるかと思った」




ひとしきり笑ったところで作業を再開。



「副長よぉ~本当に着なきゃいけねぇ?」



戻ってきた土方と左之が作業に加わった。


まぁそりゃ左之達は今までずっと…というか今も袴を着てるんだ、いきなり洋装ってのは抵抗がある。


着物に慣れたアタシでさえそう思うんだから、こっちの人はとくにだろう。



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