空と君との間に

ピンク色の坂道

−1997年 4月−


俺は、高校に進学した。


ギターとパソコンが趣味だから、どうせなら近くて情報科のある高校に進学したかった。


だだそれだけ…


俺が通っていた高校は、校門までの道程が、長い坂道になっている。


桜の花びらが散り、道を埋めつくしていた。


まるで、ピンク色の絨毯を敷き詰めた様な坂道…


眠たい目を擦りながら、母に連れられて、入学式に出席した。



その後、それぞれのクラスへ、初めてのホームルームをするために向かった。


席には、それぞれに配布されるプリントと、クリップで留める様に出来ている、プラスチック製の名札が置いてあった。


ほぼ全員が知らない者どおしだが、中にはすでに、仲良くなっている者もいた。


ただ何気なく、外の景色を眺めていると、前の席の男が声をかけてきた。


「よぅ、俺は村上隆志。お前は?」


「俺は、柳瀬…空」


「空かぁ、いい名前だな!俺は隆志でいいから。あとさ、俺らのクラス、卒業までクラス替えがないんだとさ。三年間よろしくな!」


そう言って、握手を求めてきた。


俺はそれに返し、手を差し出しながら…


「あぁ、よろしく!俺のことは空でいい」


そう言った。



そういえば情報科は、1クラスしかない…


会計科が2クラスだから、俺達にはクラス替えがないのだ。




予想通り、たいして面白くもない担任の話を聞き流し、ホームルームは終わった。



「空さ、お前家どこ?市内?」


隆志が話し掛けてくる。


「あぁ、市内だけど…ってゆうか、家すぐそこだから」


「お前、家が近いから決めたんだろ」


図星……


隆志は何かと勘のするどい奴で、その時の人の心理を的中させるのが、得意だった。


「よく判ったなぁ…」


「やっぱりな!お前、何も考えてなさそうだし」


そう言うと、それ見た事かと笑う。


これが隆志との出会いだった…

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