空と君との間に
「ありがと、助かるよ。できれば、年明けまでには…」


「うん!急ぐもんね。頑張んなきゃ」




俺は実のところ、クリスマスのあの事件から、かなり落ち込み、曲を書くのにかなり難航していた…


…惚れた女にキスしようとして、ビンタを喰らう?


最悪だ…だが、バンドも大事なもの…


俺は年末年始を、曲作りに専念した。カウントダウンさえも、していなかった。


途中、隆志から、みんなで初詣に行こう、と誘いを受けたが、断った…


そんな気に、なれなかった…


だが、気分を入れ換えてやっていかないと!


美紗に気まずさを感じてたんじゃあ、これからバンドなんか、できやしない!


といった感じで、曲は完成した…


急いで作ったにしては、それなりの出来だった…


後は美紗の詞に、メロディをつけるだけだ…


美紗と連絡を取り、いつものスタジオで落ち合った。


…クリスマスの夜の、あのスタジオで…


「明けましておめでとう!」


「おぉ、明けおめ!」


「何それ?略してるの?」


「あぁ、流行ってるらしいぞ」


「へぇ…ことよろ!みたいな?」


よかった。全然気まずくない…女って生き物は、本当にすぐ忘れるもんなんだな…


「歌詞、できた?見せてみて」


「うん…何だか、恥ずかしいな…」


「いいから、見せて!これから曲付けて、美紗は唄わきゃならないんだぞ」


「…そうだよね」


俺は、少し以外だった…美紗が書いた、歌詞のタイトルは『NEMESIS』となっていたのだ。


「『NEMEIS』…これは…」


「うん。私、考えたんだけど…『NEMESIS』は元々、空君と亮君がいたバンドでしょ?今は、新しく組んで『seraph』になったけど、それを生かしておきたかったの」


「なる程…いいかも…」


俺には、そんな格好いい事、思い付くこともできなかった…


「『NEMESIS』って、罪を犯した者に、罰を与える女神でしょ?だから、ストーリーを、付けやすかったっていうか…」


「へぇ…ちょっと待って、読んでみるから」


美紗の書いた歌詞…

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