空と君との間に
1998年4月


俺達は高二になった。


今までと何も変わらない。親友である隆志とは、卒業するまで同じクラスだ。もちろん、優子とも…


美紗にはクラス替えがあり、二年ではBクラスとなった。


俺達は始業式を終え、教室に戻り、担任の東先生を待った。


俺の席は、1番窓側の、1番後ろだったのだが、そこに隆志が、もう一つ机を用意していた。


「どうしたんだよ?その机…」


「東が用意しろって言うからさ、持ってきたんだよ」


「…何で?誰が座るんだよ?」


「それは後のお楽しみだ…お前、ラッキーだな」


「どういう意味だよ…」


隆志はいつもの様な、怪しい笑みを浮かべた。




すると担任が、一人の女の子と一緒に入ってきた。


「えーと、この学校では異例の事なんだが…今学期から、転校生が来たぞ」


クラスの連中は、ざわざわしていた。


それもそうだ…転校生は、金髪の外国人…




って、レイじゃん?!




「はーい騒がない!彼女は、日本人のお父さんの仕事の都合で、長い間アメリカに住んでいたらしい。お母さんはフランス人の方で…まぁハーフってやつだな」



ハーフ?!



「ちなみに、日本語はペラペラだから、安心していいぞ!仲良くするように」



日本語ペラペラ?!



すると、担任が黒板に名前を書き出した。


「進藤零です。よろしくお願いします」


まじで喋れるし…つーかハーフだったんだ。


「進藤さんは、とりあえず…柳瀬の後ろの席に座ってもらおうか」


やっぱりそうなるんだな…


俺は、隆志の方を見て、さっき笑みの意味を理解した。



レイは俺と、その微かに青い瞳を合わせながら席に就き、小声で言った。


「ハーイ空!よろしくね」


「あぁ…ってかお前、日本語喋れるんじゃねーか」


「sorry…ちょっと意地悪しちゃった!」



ごまかす様に、ニコッと笑うレイを見て、一瞬ドキッとした。


この先、レイは俺達の掛け替えのない仲間になるのだが…


この時の俺には、想像もつかなかった…


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