空と君との間に

真意

そして日曜…


俺、美紗、亮の三人は、すでにいつものスタジオに集まっていた。


「遅いね、零…」


「まさか、どたキャン?」


「零はそんな事しないよ…多分。すごく見たがってたし…」


「迷ってんのかな?」


「かもな。まだ道もよく解ってないだろうし…」


「先に入ってようか。なぁ、空」


「あぁ…」


「私、ここで待ってる。もうすぐ来るかも知れないし」




そして、俺達は先にスタジオに入った。


10分ほど経っただろうか…美紗が驚いた様子で、飛び込んで来た。


「空君、亮君、大変!」


慌てふためいた美紗に、俺達は動揺した。


「美紗?!何があったんだ?…まさか零に何か…」


「いやっ、違う、そうじゃなくて…零は来たのよ!それが…」


「はぁ?」


俺も亮も、美紗が何を言おうとしているのか、理解できなかった。


すると、零がひょこっと顔を覗かせた。


「ハーイ!お待たせ、迷っちゃって…」


そう言いながら、スタジオに入って来た零を見て、俺達はア然とした。


「お前…それ…」


零は背中に、楽器を背負っていた。


バンドをしてる奴なら、その中身が何なのか、すぐに判った。




ベースだ…




「あっ、やっぱりビックリした?」


零は笑いながら、そう言った。


言葉が出てこない俺達を見て、美紗が説明しだした。


「今、表でちょっとだけ話したんだけど…零は、アメリカでバンドやってて、しかも、ベースだったんだって!『seraph』に入りたいんだって!」




………




「それマジかよ?!零、ベース弾けんの?」


「零…お前なぁ…」


俺は、少し呆れた様子で、零を見た。


「みんな、ごめぇん!驚かせたくて。私と音合わせ…してくれるよね?」


「……クックック……」


俺は、まんまと騙された自分が、可笑しくてしかたなくなった。


みんなもつられて笑った。


「はぁー、面白っ!勿論いいけど…曲どうするよ?」


零は、少し真剣な表情になり、こう言った。

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