奏でるものは~第4部 最終章~
「歌織さんと、結婚させてください」
両家の両親が、驚いて優人さんを見てから私を見る。
「実は、高校の時に付き合ってて、今年再会してまた付き合っていました。
本当に結婚したいと、プロポーズもしたのですが……」
「えぇ?歌織、本当なの?」
みんなが唖然とするなか母が問いかけてきた。
「はい」
「じゃ、歌織さん、プロポーズをうけたの?」
「えっと………」
「その事でケンカになってしまって、今日の見合いで会ってビックリしたんだよ」
優人さんが返事をしてくれた。
「ケンカって、なんだ?」
父が言う。
「仕事のことで結婚を反対されたら、仕事辞めると言ったら、結婚しないとか色々言われました」
「仕事辞めてまで結婚したかったの?」
私の母が聞くと、優人さんが頷いた。
「まあ、とにかく、二人は結婚してもいいと思うところまで来てたわけか。
今日の見合いは、いらなかったな」
笑いだした両親たちに、返す言葉がない。
優人さんと顔を見合わせた。