奏でるものは~第4部 最終章~
お開きになり、店の玄関に向かいながら
「あっという間に決まったな」
優人さんのボソッとした呟きに頷いた。
「頭がこんがらがってるわ。
さっさと決めないと、全部決められてしまいそうね」
「そうだな。今朝行った美容院って昌のところか?」
「その昌さんにしてもらったのよ」
「ふぅん。なかなか似合ってるよ。
また、週末に会おう」
玄関を出ると、車を回してくれていた。
「歌織はどうするんだ?」
父がこのまま優人さんと出かけるのか、という意味で聞いてきた。
「どうするも何も、家に帰って着がえなきゃ」
「そうだな、じゃ、如月さん、また」
丁寧に別れの挨拶をして、それぞれの車で家に向かった。