奏でるものは~第4部 最終章~
優人さんの部屋は、広くて、大きめのベッドに机やソファ、テレビもあった。
ソファに座ると、苦笑いで優人さんが話し出した。
「見合いの日、帰ってからしつこく聞かれて、結局、結婚の為に仕事辞めるなんて何考えてるんだ、って叱られたよ。
俺が悪いと」
「私も、色々聞かれて嫌になったわ。
もう、さっさと決めて家を出ようかと思った」
二人で笑い合う。
ドレスのカタログを見ていると
「式はどうしたい?
連休だったら、早く決めないと予約できないらしい」
そう言われても、希望はあまりない。
「近場で軽井沢とか沖縄、かなぁ。
国内で十分じゃない?」
「俺はあんまり、希望はないからなんでもいい。
沖縄、か。いいんじゃね?
でも記念だから、ドレスは着てほしい」
それでも、住むところや入籍の日は勝手には決められない。
「住みたいところとかあるのか?」
「仕事に通えたらなんでもいい」
「じゃ、とりあえず聞いてみよう。
まだみんな揃ってるだろ。その後、出掛けよう」
「え?出掛けるの?」
「ずっと家にいてもしょうがないだろ?」
結構行動的なんだ、と荷物を持ってついていった。