奏でるものは~第4部 最終章~


優人さんの部屋は、広くて、大きめのベッドに机やソファ、テレビもあった。

ソファに座ると、苦笑いで優人さんが話し出した。


「見合いの日、帰ってからしつこく聞かれて、結局、結婚の為に仕事辞めるなんて何考えてるんだ、って叱られたよ。
俺が悪いと」

「私も、色々聞かれて嫌になったわ。
もう、さっさと決めて家を出ようかと思った」


二人で笑い合う。

ドレスのカタログを見ていると

「式はどうしたい?
連休だったら、早く決めないと予約できないらしい」


そう言われても、希望はあまりない。


「近場で軽井沢とか沖縄、かなぁ。
国内で十分じゃない?」

「俺はあんまり、希望はないからなんでもいい。
沖縄、か。いいんじゃね?
でも記念だから、ドレスは着てほしい」

それでも、住むところや入籍の日は勝手には決められない。

「住みたいところとかあるのか?」

「仕事に通えたらなんでもいい」

「じゃ、とりあえず聞いてみよう。
まだみんな揃ってるだろ。その後、出掛けよう」

「え?出掛けるの?」

「ずっと家にいてもしょうがないだろ?」


結構行動的なんだ、と荷物を持ってついていった。





< 109 / 147 >

この作品をシェア

pagetop