奏でるものは~第4部 最終章~
「優人さん?どうしましょう」
全員が何事かと母を見る。
「歌織は料理できないのよ」
シーン、となった家。
「大丈夫です。手伝いを頼めますから」
「……優人?本当に大丈夫か?」
「大丈夫ですよ」
兄に断言した優人さんが、頼もしく見えた。
「ちょっとは練習させるから……」
申し訳なさそうな父にも
「大丈夫です、どうにもならなければ俺が作りますから」
と笑顔で返していた。
「えーっと、私の部屋に行く?」
「いいのか?」
「いいのよ。そこのカタログを持ってあがってね」
いたたまれなくなった私は、カタログと共に退散した。