奏でるものは~第4部 最終章~
2階にあがり、部屋に行く途中、ここが音楽室、とドアの前を通りながら言った。
「見ていい?」
「ん?いいよ」
ドアを開けるとピアノと部屋の半分の和室の部分に筝が置いてある。
「いつもここで練習?」
「最近は職場で弾くことが多いから時々ね、学生時代までは毎日ここで練習してたなあ」
「新居にも要るな」
「でも、防音とか大変だからいいのよ」
「いや、でも……」
自分の部屋に入ると、そこに優人さんが要ることが不思議でしょうがない。
こんなことも、結婚準備なのだろう。
でも、やっぱり落ち着かない。
新居のこともドレスのことも一人で考えることにした。