奏でるものは~第4部 最終章~


優人さんが手を合わせている間、お墓の横で、ヒラヒラと散っていく桜の花を見ていた。


満開を過ぎて、そよ風にも散る花びら。


毎年繰り返す、咲いては散る花。


そして、実がなる。


悠久の大自然の中で、人の生死はあっという間で、命が変わりながらも、人の営みは遥か昔から、変わっていない。


今年の桜はもう終わって、来年は、今年伸びた枝に新しく花をつける。


花は毎年咲いていても、去年とは違う。

変わることなく、繰り返す。



私も、変わったのかもしれない。



お姉ちゃん、また来るから




優人さんが立ち上がり、目が合うと微笑んだ。





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