奏でるものは~第4部 最終章~
4人で話していると、昌さんと龍くんも合流する。
―――心臓に悪いわ、このメンバー
ちょっと離れようと兄をみて、目配せをして会場を抜け出た。
ロビーのソファに座り、もう終わるころか、とスマホで時間を確認していると、人の気配に目をあげて、ドキリとする。
「ちょっといいか?」
「…どうぞ」
向かいのソファに座る優さんをみた。
「久しぶり」
「ああ、日本にいなかったからな」
「そうみたいね、知らなかったわ」
笑いながら普通に話す優さんに合わせるように会話が出来る。
「サイタに就いたんだな」
「そう、意外だった?」
「まあな。
ゆっくり会って話がしたい。
今日はどう考えても無理だろ?」
個人的に会う?
過去のわだかまりはもう無いはず。
「………連絡先は変わってないわ、わかる?」
「ああ。連絡していいか?」
頷いて応えた。
「そろそろ終わるぞ」
「戻らなきゃね」
一緒に会場に戻った。