奏でるものは~第4部 最終章~
金曜日。
約束したのは、海沿いにある高級ホテルのロビー。
7時の約束に合わせてタクシーに乗る。
仕事で着ていたジャケットを脱ぎシフォンブラウスとカーデに膝丈の柔らかい生地のスカートを合わせた。
4月の終わりの金曜日。
来週には連休になる。
「お待たせした?」
優さんに声をかけた。
「いや、大丈夫。
上のレストラン予約してるから」
歩き出す優さんに着いていく。
「車?」
「ううん」
「じゃ、ワインだな」
ニッと笑う顔は、変わらないが、精悍な感じが増した。
「そうね」
笑顔で返した。