奏でるものは~第4部 最終章~
連れられて入った部屋は、リビングのようになっている部屋の奥の半分が、寝室になっているようで、ドアがついている。
ソファセットがあり、書斎のような机も取り付けてある。
「ここは、如月の家の者しか使わない部屋だから」
苦笑いで優さんが言った。
ソファに並んで座る。
ミネラルウォーターを渡され、優さんがミネラルウォーターを持った自分の手を見ながら話し出した。
「あの時、俺が歌織を傷つけたんだ」
「そうかもしれない。
でも、優さんはちゃんと話してくれたでしょ?
逃げたことで、傷つけたのは私だよ」
「いや、あの時、あのまま付き合ってても腫れ物に触るような、ぎこちない態度になって余計に傷つけたと思う。
だから、あの時、別れたことで今があるんだ」
「……」