奏でるものは~第4部 最終章~
招待客には功さんや美輝もいた。
少し喋ったり、知り合いを紹介しあって喋ったりもしたが、まだ若手の私達はまだゆっくりできず、挨拶にまわる。
「歌織ちゃん?」
声をかけられて、振り向く。
驚いたのは、龍くんと一緒に婚約者として春菜が来ていたことだった。
「あ、えー?春菜?
そっか。結婚の挨拶に来たのね?
おめでとうございます」
「そうなんだけど、なんだかもう疲れてるわ。
歌織はこんなパーティーによく来るの?」
困ったような表情の春菜に笑い返す。
「私は、営業とかじゃないから、関係者のパーティに出ることが時々あるくらい。
めんどくさいことは龍くんがしてくれるわよ、大丈夫。
とりあえず笑ってたらなんとかなるわ」
その時
「龍?」
「あ、お久しぶりです、総一さん。
こちら西田さん。
婚約しました春菜です。
よろしくお願いいたします」
春菜も頭を下げた。
「お兄さま、春菜は私の友達なの」
「そうなんだ。
婚約おめでとう。
歌織とも仲良くしてやってくれよ」
「あ、歌織の……?」
「そうよ、兄なの」
驚いた顔の春菜に笑いかけると
「お疲れ様です」
功さんも来た。
「総一さん、お久しぶりです。
お、春菜ちゃん、おめでとう」
5人でしばらく喋っていたが、龍くんが
「さ、如月家に挨拶に行くか」
と春菜に言って、じゃ、と会釈をして離れていった。
春菜は幸せだけど、今日のパーティは疲れるんだろうな、また連絡しよう
と思いながら、兄とまた挨拶に回り始めた。
パーティが終わり帰る時に、優人さんや如月の人たちと少し言葉をかわす。
そのまま兄と帰路についた。