奏でるものは~第4部 最終章~
秋らしい涼しい風が吹き、長袖で1日を過ごすようになった。
「歌織、来週の日曜日空けておきなさい」
10月の終わりの家族揃っての夕食中、父の言葉に少し驚いた。
「大丈夫ですけど、何?」
「とりあえず朝から出かけるから」
何か、変な感じ。
「分かった」
深く考えるのはやめた。
ハッキリした予定を言わないからそれについて話すこともなく、母のたわいもない話に相槌を打って食事を終えた。