奏でるものは~第4部 最終章~
楽しみにしていた土曜日。
朝から出かける準備をしていると、両親が出かける気配がした。
今日も仕事なのだろうか。
夫婦仲は良い、と娘の私にもわかる。
同じ仕事をするパートナーでもあり、人生のパートナーでもある。
姉のことも、二人で支えあったから、私の前で笑顔でいることが出来たのではないだろうか。
母も、辛かったのだろう。
凄く痩せた時期も私の前では取り乱さなかった。
心からの笑顔ではなかったのかもしれないけど、笑顔でいてくれた。
だから、私は前向きに高校生活を送ることができたのかもしれない。
両親がずっと取り乱していたら、あの頃、楽しく過ごすことは出来なかったかもしれない。
二人でいる時は、きっと涙を流したのだろう。
二人の優しさと愛情の強さが、私の道標になっていたのかもしれない。
自分の親ながら、素敵だなと思う。
化粧を終えて、駅に向かって出掛けた。