幸せポイント
☆☆☆

公園のトイレは不衛生で臭くて最悪だった。


それでもどうにか目元だけ洗って砂を流すと、ようやく目を開けられるようになった。


焼けるように扱った目元に、水で濡らしたハンカチを当てる。


涙はまだ止まらないが、ヒヤリとした感触が心地よかった。


「目つぶしなんて反則でしょ」


女子トイレから出たあたしは怒りをあらわにしてそう言った。


「ごめん。なんで、僕のために……?」


トイレの前であたしを待っていた久志がおどおどとした口調でそう言った。


なにが言いたいのかハッキリわからなくて、つい笑ってしまった。


「別に、自分のためだから」


嘘じゃなかった。


正にその通りだった。


「でも……君はイジメられる側じゃなかったのに」


「だから、自分のためなんだってば」
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