幸せポイント
「生きてるって感じられた」


あたしはそう言い笑った。


暴力を受けて生きていると実感するなんて、とても変な奴だと思われるかもしれない。


だけど、あたしは痛みすら日常の中から忘れ去っていたのかもしれない。


退屈な毎日の中にこれほどの刺激があったなんて、知らなかった。


「そんな風に感じられるのなんて、今のうちだけだ」


久志はそう言い、あたしから視線を外した。


確かにそうなんだろう。


毎日こんな目に遭っていれば生きていること自体が苦痛になり、生きているという実感なんて消え去ってしまうかもしれない。


「……学校、どうするの?」


「行かないよ。行けるわけないだろ」


久志は苛立った様子でそう言ってきた。


攻撃されてもずっと我慢してきた時とは比べ物にならないくらい、険しい表情を浮かべている。
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