幸せポイント
屋上のドアが開いていたのは彼等の仕業だったというわけだ。


どうにかして屋上の合鍵を入手した彼等は頻繁にここに出入りしていたようで、貯水槽の裏にはタバコのカスやお菓子のゴミが散乱していた。


思わぬ客人が現れた彼等は慌てる様子もなく、あたしと久志を屋上に閉じ込めて逃げて行ってしまった。


ということだった。


「最悪だな」


久志があたしを睨んでそう言った。


脱力してしまったあたしは久志を見上げてヘラッと笑う事しかできなかった。


この状況のせいなのか、踏みつけられた体が今になって痛み始めた。


「大丈夫だよ、放課後になれば見回りが来るでしょ」


そう言ってあたしは勢いを付けて立ち上がった。


瞬間、体が痛んでよろめいた。


咄嗟に久志が手を伸ばし、あたしの体を支えてくれる。


「ありがとう」


礼を言って貯水槽の裏に回ってみると、ゴミだけでなくいろんなものが散乱しているのがわかった。


漫画本や、少しエッチな本。


それに枕や毛布まである。


彼等にとってここは我が家同然だったようだ。
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