幸せポイント
何年生かわからないけれど、ブルーの体操着を身に付けた生徒たちが走っているのが見えた。


「ね、どうせだからちょっと座って話そうよ」


あたしは毛布を引っ張ってきてそこに腰を下ろした。


お世辞にも綺麗とは言えないけれど、コンクリートに直接座るよりはマシだった。


久志はムスッとした表情を崩さずにあたしの隣に座った。


「単刀直入に聞くけどさ、なんでイジメられてるの?」


「もう少し気をつかうとかできないのか?」


「ごめんね。だけど久志のお父さんって権力者なんでしょ? イジメくらいどうとでもなるんじゃないの?」


「親父には関係ない事だからだよ。毎日仕事で忙しい人なのにイジメられてますなんて、言えないだろ?」


そういうものなんだろうか?


イジメられた経験のないあたしにはしっくりこない。


だけど、イジメられっ子が誰にも相談できないというのは、よく聞く事だった。
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