幸せポイント
恥ずかしいとか、復讐が怖いとか色々言われているけれど、その中には事実を他人に話さなければならないという勇気も関係していると思う。


だって、『あたし本当はもう死んでるんだよねぇ』なんて、口が裂けても言えないもん。


「僕は別にいいんだよ。高校を卒業するまでの我慢なんだから」


それって十分長い気がするんだけど、久志からしたら短い時間なのかもしれない。


「授業に出ないと留年するでしょ?」


「それは大丈夫。親がどうにかしてくれるから」


ちょっと待って、さっきと言ってる事が違う。


そう思い、あたしは久志を見た。


久志はあたしが言わんとすることが理解できたのか、説明を始めた。


「『授業に出てない』=『イジメられている』ってことにはならないだろ? きっと、僕が好き勝手遊んでいるからだと勘違いしてくれるに違いないんだ」


「そう、なの?」


「きっとそうだと思う。遊んでて留年しそうだってことなら、僕でも胸を張って言えるから」


なるほど。


イジメられて学校に行けないということよりも、みんなと遊びすぎて学校をサボっていた。


と言う方が久志からすればずっと楽な説明になるんだ。


だけどそれって、なんだか少し胸の奥がモヤモヤする。
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