幸せポイント
久志は悪い事をしていないのに、親に嘘をつかなければならないのだ。


「じゃあさ、久志はなんでイジメられるようになったの?」


「これもドストレートな質問だな」


久志は呆れ顔を通り越して笑っている。


「ごめん。でも、こんな時じゃないと話せないでしょ?」


「まぁ、確かに」


久志は頷き、そして空を見上げた。


自分の過去を振り返っているように目を細める。


「正樹には他校に付き合っている彼女がいるんだ」


「へぇ!?」


それは初耳だった。


正樹はブサイクではないけれど、イジメのリーダーだと知った瞬間から意地の悪さが顔に出ていると感じていた。


でも、そんな正樹でも彼女には優しいのだろう。


「僕はその彼女の事なんて知らなかった。ある日、駅前で遊んでいた時に1人の女の子に道を聞かれたんだ。


だから僕はそれに答えて、彼女を近くまで送って行ってあげた。それが偶然にも正樹の彼女だったんだ」


「へぇ、言い奴じゃん久志って」


茶化すようにそう言って肘でつついた。


つついた場所が丁度攻撃を受けた場所だったようで、久志は本気で痛がり、あたしから身を離した。
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