幸せポイント
「なにを――！」


美鈴の拳が目の前にある。


そう認識すると同時に、窓枠から入ってくる1人の人物がいた。


「なにしてんの！！」


悲鳴に近い声で叫んだその人に、美鈴の手が止まった。


ハッとした表情を浮かべる美鈴が振り向いた先には早苗が立っていた。


早苗は大きく肩で息をしていて、ここまで走って来たのがわかった。


「な、なんでもないよ」


美鈴はあたしから手を離して笑顔を浮かべた。


「なんでもないって……久志、顔真っ青じゃん」


あたしの後ろにいる久志に視線を向けて早苗が言った。


それだけでもこの空間が普通じゃないと理解できただろう。


「本当になんでもないって。行こう香織」


美鈴は軽く舌打ちをし、香織を引きつれて去って行ったのだった。
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