幸せポイント
まさか泣かれると思っていなかったのでオロオロするしかない。


久志を見ても、困って突っ立っているだけだった。


「美鈴たちがやってることもショックだったど、友達がイジメに遭っているのを知らなかったなんて……」


そう言った早苗の頬に涙がこぼれていく。


「さ、早苗! イジメって言っても大したことないから! あたしなんて、昨日からターゲットになったばかりだから、全然大丈夫だから!!」


自分でもよくわからない言い訳じみたことを言い、必死で取り繕う。


「イジメが大丈夫だなんて、軽々しく言わないで!」


早苗があたしの体を抱きしめてきたので、あたしの思考回路は遮断されてしまった。


こんな風に友人に抱きしめられるのなんて、小学生の頃以来だ。


「早苗……?」


「……ごめん、取り乱した」


そう言い、あたしから体を離して涙をぬぐう。
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