幸せポイント
テンちゃんが少し居心地が悪そうに部屋の中央に立っている。


「蘭ちゃん、大丈夫?」


「平気」


あたしは涙声でそう言い、上半身を起こした。


といっても、今日のポイントなんでゼロに決まっている。


あたしたちはあの後学校へは行かず、そのまま家に戻って来たのだから。


それからあたしは何もせず、1日を無駄に過ごしたんだ。


「涙……」


テンちゃんがあたしの頬に流れた涙を指先で拭った。


指の温もりがくすぐったい。


「ごめんねテンちゃん。なんか気まずいよね」


そう言うと、テンちゃんは左右に首を振った。


テンちゃんもあたしがどうして泣いているのかわかっているから、その理由は何も聞いて来なかった。


ただ、あたしと同じように辛そうな表情を浮かべている。


「今日の『幸せポイント』だよ」


いつの間にかカードを手にしていたテンちゃんがそう言い、あたしにカードを差し出して来た。


「どうせ今日はゼロでしょ」


そう言いながら受け取り、カードを確認する。


するとそこには新しく3つの花丸が押されていることに気が付いた。
< 141 / 236 >

この作品をシェア

pagetop